万博のTech Worldパビリオンに行ってきました
今回の記事では、印象に残った企業パビリオン「Tech World」を紹介します。
企業パビリオンの出展企業は、NTTやパソナグループなど日本の有名企業が名を連ねていますが、
「玉山テック株式会社」という聞き慣れない企業が出展しているパビリオンが Tech World です。
玉山テック株式会社とは
玉山テック株式会社は台湾が出資する日本企業です。
そのため Tech World は企業パビリオンでありながら「実質台湾パビリオン」と呼ばれています。
展示内容とテーマ
Tech World では、半導体製造の世界トップシェアを誇る半導体大国、台湾の最新技術が詰まっていました。
- 先進化と技術の発展によって台湾の豊かな自然が脅かされていること
- 台湾が誇る半導体技術と、プロダクトの展示(半導体ウエハーにロボットアームやノートPC、スマホ・タブレット、ディスプレイなど半導体を使われる製品)
- AIが考える未来の話
実用化されている最新技術の展示と、それによって失われつつあるもの、そして未来の話をわかりやすく、
テーマパークのアトラクションのような演出で、子どもでも楽しめる内容になっていました。
- 560台のロボットアームで音と映像に合わせて動くChromebook
- 4Kレーザープロジェクタの高精細な映像と、風で揺らめくミストと香りによる没入型シアター
- 台湾特産の蘭の展示と着色技術、透明LEDディスプレイ
- 現代美術作品の8Kアートディスプレイで展示と、AIによるアートワーク
文化やアート、研究段階の技術の展示ではなく、実用化されている最新技術の展示です。
8Kアートディスプレイは近くでみても立体感が感じられるほど繊細で、AIが模倣した架空のアートのアニメーションを眺めるのは、なんとも不思議な体験でした。
円筒形のフロアの壁は巨大スクリーンになっていて、
湾曲したスクリーンの中央に立つと、左を向いても右を向いても映像が見えるような状態で、風やミストで没入感を演出します。
複数台のプロジェクタを制御して映し出しているんでしょうか。
目に見えるロボットや機械は、もちろんスゴいのですが、
その裏側にある「制御する技術」の大切さが感じられる展示でした。
AIが語る「より良い未来」
AIがつくった映像では未来を不安がる少女に対して、
AIは「これからもっとより良い世界になっていくよ」「賢い開発者が魔法のチップを活用して問題を解決していくよ」と答えます。
AIが考えるより良い世界と、人間が考えるより良い世界。
いい未来だといいですね。
万博をきっかけに、AIでアプリをつくってみた
万博を経て、思いつきでこういうアプリをつくってみました。
オフィスの入口においておけば、前を通った人の方を向いて「◯◯さん、こんにちは」と挨拶してくれます。
裏側では、弊社ドメインのGoogleアカウントでログインして、顔の登録ができるようになっています。
iPad のカメラで写った映像から顔を認識し、登録されている顔であれば、挨拶してくれる仕組みです。
仕様上、顔認識の精度が甘くセキュリティ用途には向かないので、入室ログのようなアプリです。
このアプリ自体、生成AIでつくられています。
AIコーディングのエディタ Cursor に「これとこれ組み合わせて、こんなアプリつくって」と伝えれば、
ベースとなる機能、ログインや顔認識の実装はすぐに完成しました。
その後、3Dモデルの動作や視線追従など、細かい調整も生成AIに頼んで修正しました。
「もう少し上を向いて」「動きをなめらかにして」といった自然言語での指示が可能です。
Googleカレンダーと連携させて、「もうすぐミーティングの時間ですよ」と声をかけるような拡張も試しています。
生成AIの“便利さ”と“怖さ”
コードを確認すると、顔の特徴点データをローカルに保存しているなど、
まだまだ安全性に不安のある構造も見られました。
こうした点は、人の手による確認や制御が欠かせません。
生成AIの普及から数年
私たちの仕事や生活にも急速に入り込みつつあります。
この流れをどう活かし、どこまで信頼し、どこで止めるか。
その判断こそが、今後の社会に求められる“人間の知性”なのかもしれません。
おわりに
万博の体験を通して感じたのは、
テクノロジーの「見える部分」よりも、それを支える制御や倫理の重要性です。
AIが語る未来が本当に「良い世界」になるように、
私たちもまた、その使い方を学び、考え続ける必要があると感じました。






