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Quality People, Quality Stories. Vol.5-01

あかりとともにある「文化」

住まいをはじめ、美術館博物館、オフィスなどさまざまなシーンで光をデザインするYAMAGIWA。取締役である坂詰氏が語る。

 

 

ー「YAMAGIWA」にとっての文化を語っていただくにあたり、まず会社の成り立ちをお教えください。

 YAMAGIWAは1923年創業で、間もなく100周年を迎えます。当初は秋葉原で電気部品の卸をしており、その後は家電製品の販売をしていました。1950年代より照明事業を立ち上げるのですが、先代の社長がテレビの本格放送開始を前に訪れたアメリカ視察の際に見た家々の明かりに心を奪われたことがきっかけです。

ー心を奪われた、といいますと?

 当時の日本はまだ戦後から5,6年程度しか経っておらず、戦時中の暗い時代から文明的で明るい時代へと潮流が変化している中において、効率的で白く明るい蛍光灯が主流でした。戦時中の日本は照明をつけること自体が禁止されていた背景がありますから、その蛍光灯の明るい光は平和の象徴でもあったのでしょう。
そのような中訪問したアメリカで、宿泊していたホテルがあったニューヨークから見下ろした家々のあたたかみのあるあかりを見て、その光景にすっかり心酔したようです。
その後すぐにヨーロッパに渡るのですが、そこでデザインの重要性を知り、「あかりは文化である、文化を支えるのはデザインである」と直感して、北欧やイタリア、ドイツなどのヨーロッパの一流ブランドと関係を築いて、世界の照明文化を発信するようになりました。

ーオリジナルの照明作りはいつ頃からされているのでしょうか。

 1960 年代の後半あたりからですね。世界の照明も素敵だけど、それはその国の文化に基づいて生まれた照明器具であって、日本文化にふさわしい照明器具が必要なんじゃないかということで、YAMAGIWA オリジナル照明の開発に踏み出しました。現在までに70名を超える国内外の建築家やデザイナーと一緒に作品を作り続けています。

 

 

ー照明デザインコンペも主催されていましたよね。

 そうですね。坂倉準三さん、丹下健三さん、亀倉雄策さん、剣持勇さんなどそうそうたる方たちを審査員に迎え、1968年にスタートして1983年まで、10 回開催しました。そういう活動を通じて、照明文化を創り、牽引してきたという自負もあります。その後、80年代に入ってからはセンチュリーハイアットの大型シャンデリアなど、大きなプロジェクトを手掛けるようになりました。光を作るYAMAGIWA の照明事業というのは、このように立ち上がって今に至ります。

輸入品を多く扱っていますが、自社製品のものづくりにおいて海外メーカーからの影響はありません。海外製品は海外の文化に基づいて作られた製品であり、日本では日本の文化に基づいた製品を作るべきという考えで進めています。
建築家の伊東豊雄さんによるMAYUHANAは、器具の意匠を見せたいのではなく、光そのものをデザインしています。それは東山魁夷の「冬華」のようなおぼろげなあかり。デザイナーの吉岡徳仁さんによるToFUやTearDropも同じく光そのものをデザインしています。
私たちが開発している商品は、表面的な器具の意匠だけを意図したものではありません。もちろん新しい技術や新しい素材を使った光の表現は常に模索しています。あかりの美しさはいつの時代においても普遍的であって、だからこそ10年を越えるロングセラーが生まれています。
また著名建築家が手掛けた照明器具の復刻も行っています。後ろにあるフランク・ロイド・ライトの照明もその一つです。1994年にライト財団から正式ライセンスを得て、25年に渡り製造販売を行っています。

 

 

 

 YAMAGIWA の目指す方向性は事業立ち上げ当初から変わらず、アメリカで見た、あの” あたたかみのある光” です。日本人の持っている精神性として、「光も影も愛でる」というものがあるように思います。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』のような、と言っていいのかな。この感性・琴線に触れるような仕事が出来る会社でありたいし、そうしていかなければいけない会社だと思っています。

ーなるほど。歴史的背景とYAMAGIWA の歩みそのものが文化と共にあった、と。御社にとって「文化」というキーワードとの共存が必然的であるものという印象です。では改めて、YAMAGIWA にとっての「文化」とは何でしょうか。

 そうですね。もちろん、どれだけ効率的になったかだとか、省エネになっただとか、パワーがあるのかという文明的な部分も追求はしますが、私たちが本当に大切にしているところは、その時代・その場所で暮らす人たちが快適で豊かに暮らせる環境を、照明を通して提供し続ける会社、そんな位置付けであること。生活を豊かにする物質的なところは抑えつつ、心に届くものを作ること。その姿勢を貫く会社で在り続けること。それこそが文化であるという風に考えています。「文化は人の心を豊かにする」とも言いますしね。

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