こんにちは、デザイナーの南場です。
先日、高階秀爾(たかしなしゅうじ)さん著の「日本人にとって美しさとは何か」という本を読みました。
もともと、侘び寂びや粋といった日本の美意識に興味はあったのですが、
理解するには奥が深そうでなかなか手を出せずにいました。
この本は、本屋さんでタイトルの直球さに惹かれて手に取りました。
内容は、難しい言葉も無く、例えを随所に入れてくれています。
著者の高階さんは、美術史学者で東京大学文学部の名誉教授でもあるそうで、
教え方が丁寧でとてもわかりやすい本です。
私は日本の文化を知る上では、日本語の起源を読み解くことが必要だと考えていたのですが
この本では、そのあたりもきちんと書かれているので体系立てて理解することができます。
中でも、私が一番印象に残っているものが「余白の美学」というものです。
名称は高階さんがつけられたものかと思いますが、
日本の美意識の中には「余白の美学」というものがあるそうです。
何のことかと簡単にいうと、無駄なものや二義的なものは一切排除することを言っています。
利休と秀吉の朝顔の話が「余白の美学」の始まりとして載っていました。
例えば、バナーにしても白の背景にどんと商品パッケージのみがあったら
嫌でもパッケージが目に入ってきますし、細部まで見てしまいます。
これが、木の机の上に麻の布とその商品が置いてあって、となると
パッケージにそこまで目はいかないと思います。
無駄なものや二義的なものを一切排除すると、本当に必要なものが浮き彫りになって細部まで見てもらえます。
先述の例で言うと、もしその商品を気になっている場合
どういう場面で使うか勝手に想像してしまうと思います。
朝出かける前に玄関に置いて使えるな〜とか。
想像する余白を作っておくことも日本の美意識の内に入るんじゃないかと思います。
ちなみに外国にはこの「余白」という考え方がそもそも無いそうです。
この本を読んで、日本の美意識に対して共感できる部分がたくさんあり、
潜在的に日本の美意識というものが私にも備わっていたのではないかと感じました。
皆さんも美に対する意識を改めて考えるきっかけに是非読んでみてください。
そして読んだら是非感想を聞かせてくださいね。
それでは、また次回。