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Quality People, Quality Stories. Vol.6
2019.12.11 Storyteller

【LA発の靴文化、日本へ】

アプリ連動型スマートウォーキングシューズ「TRAQ BY ALEGRIA」を発表した株式会社アレグリアシューズジャパン。

初の海外進出について同社CEOの陳氏に聞いた。

 

ー今回、日本で展開されることになった経緯をお伺いしたいと思います。

 「真に快適な靴」のメーカーとしてアメリカで始まり、昨年10周年を迎えたタイミングで、私たちは2つのチャレンジをすることになりました。「トラック・バイ・アレグリア」という新しい靴のシリーズを売り出したことが1つ目のチャレンジです。そして2つ目が、今後はアジアの市場に進出していこうということでした。ブランドの節目としての挑戦が、日本進出のきっかけでした。

ーなぜ日本だったのでしょうか?

 日本は他のアジア諸国から見ても、あらゆる面で指標にされているキープレイヤー的存在であると思います。
 日本人の方々は意識のレベルで、安全面や品質面など大前提にクオリティの高いものを求めます。逆にそういうものでないと満足できないところがあると思います。これは他国と比べても、高いレベルで製品購入の選択基準を持っていると思います。日本で成功することによって日本の消費者に認められた商品となり、品質が高い製品ブランドである、ということを示すことができ、他のアジアの国でも「日本人にも愛されたトラック・バイ・アレグリアシューズ」=「いいブランド」という信頼醸成が出来るのかなと。

ー初上陸する日本で、商品を浸透させる上で心がけていること、注力しているポイントなどは何かありますか?

 シンプルに、「日本人をよく知ることだ!」ということを心がけています(笑)。
 本国で無事10周年を迎えましたが、アメリカで培ってきたノウハウがそのままアジアや日本で適応させられるとは思っていなくて、先ほどお話したような日本人の品質へのこだわりであったりとか、例えば靴でいうとどのシーンでどういう靴を履くのか、どういう色、柄が好まれるだろうか等、あらゆる面で日本人と欧米人はちがいがあるので、そういう意味で「日本人のことや、日本の文化をよく理解しなければいけない」な、とデザイナーとも日々リサーチをしています。

ーファッションであればヨーロッパであったり、市場規模であればアジアなら中国が大きいですよね。インドネシアなど東南アジアにも急成長している国が沢山ありますが、今後の展開では何かイメージをお持ちでしょうか?

 実はヨーロッパも代理店経由ではありますが、既に小規模ながら販売はしているんです。
アレグリアシューズはファッショナブルな点も特徴ではあるのですが、本来インソールから始まった会社なので、何より機能的で快適であるということを新しい展開の中でも、あらためて大切にしていきたいと考えています。
中国は人口が多い分もちろんいいマーケットではありますが、まだアジアのマーケットに全く進出していないブランドとしては、まずは日本で始めて、日本の方に受け入れられるブランドになってブランドイメージを確立する。そこから他の国へ展開すれば、より効果のあるブランド展開の仕方ができるんじゃないかなと思っています。将来的には他のアジアの国にも展開させていきたいと考えています。

ー市場拡大の中でも、インソール作りからはじまった会社の精神を第一にされているのですね。
日本と本国(アメリカ)において、靴文化や習慣に関してどういった部分で違いがあると感じますか?

 特に今回はウィメンズからスタートさせているので、女性の靴を履く習慣でいいますとやっぱり、通勤風景の違いでしょうか。たとえ満員電車の中であっても、日本では通勤時におしゃれなヒール付きの靴を履く人が多い印象があります。アメリカではそういう意識はないですし、それはすごい違うなとは思いますね。
 だけど、日本でも少しずつオフィスカジュアルであったり、より自由な服装が肯定されてきて、健康面を重要視する人や会社も増えてきている。だからこそ、トラック・バイ・アレグリアのデザイン性の高さと快適さというのが、これからの日本の女性に寄り添う靴であり、まさに適しているんじゃないかな、と改めて思っているんですね。オリンピックの存在も日本の健康志向に拍車をかけているのかもしれません。そういう年に、トラック・バイ・アレグリアというウォーキングシューズを初上陸させることができるのはすごくいいタイミングだなと思っています。

 

 

ーそもそもの話になってしまいますが、株式会社アレグリアシューズがアメリカで始められた理由、そして海外展開をされるまでにブランドとしての成功をおさめられた要因についてお聞かせ頂けますか。

 本社の現社長でもあるのですが、アレグリアの創設者は若い頃から靴業界の仕事をしていて、その頃からずっと”いつか自分の靴ブランドを立ち上げたい”という夢があったみたいで。なぜアメリカだったのかというと、当時貿易関係で靴を商品として取り扱う仕事をしていて、アメリカと接点があったんですね。そこからご縁があってアメリカに行き、会社を創設したという流れですね。

 創業のきっかけのひとつでもあったんですけれども、アメリカでは健康に対する意識というのは昔からやはり高いんですね。元々アメリカでこういった身体に負荷がかかりにくいインソールであったりコンフォートシューズは既に注目されていたという部分はあります。今はもうそんなにないかもしれないですけれども、食文化の影響もあり昔から糖尿病の人が結構多いので。

ーたしかに食文化でそういったイメージはあります。

 それでおそらく日本よりも早く、糖尿病の方などが生活習慣病などにならないよう防ごうというモチベーションが昔から人々の意識であったり国の政策としてあったりするんですよね。そういう土壌がアメリカではあって、歩きやすい靴を求めている人が多い点でアレグリアのウェルネスでデザイン性の高い靴というアプローチがマッチしていたのだと思います。

ー健康の意識が創業のきっかけと仰られていましたが、具体的にどんなことが契機だったのでしょうか?

 創業者であるオーナー自身がインソールの開発を行ったのですが、これを作るきっかけになったのは、本人が脚を痛めたことからなんです。靴は日常生活から切り離せないものですよね。足を痛めたことによって、歩くとき・靴を履くときに、シンプルですが「何が一番楽に歩けるのか」ということを考えたんです。先ほど、オーナーが若い頃靴の仕事に携わっていた話をしましたが、その頃に注文を受けてからつくる医療用の靴の仕事にも携わっていたことがあったそうです。その経験から、靴の構造の中で一番大事な部分はインソールだということを側で見て知っていて。オーナーが自ら実験体になってインソールを散々試したそうです。最終的に素材としてはコルクとポリウレタンを使っているんですけれども、材質やそれらの各部分の厚みを変えたり…。オーナー自身とその周りの人に協力してもらって試行錯誤を重ね、最終的に納得のいくインソールが完成しました。それが今まさにアレグリアシューズで使われているこのインソールです。
 最初のきっかけは本当に、自分が足を痛めたから「楽に歩きたい」というシンプルな思いからでした(笑)

ー海外展開に際しての重要なポイントとして、デザインよりもまず機能面を伝えることにこだわった、というのはそこに理由があったんですね。
新商品であるトラック・バイ・アレグリアについて改めて簡単にご説明いただけますでしょうか?

 トラック・バイ・アレグリアシューズは靴にチップが埋め込まれていて専用のアプリとの連携ができるスマートウォーキングシューズです。チップ埋め込み式の靴というのは他のメーカー様でも発表されていて、今後も開発も進んでいく新世代シューズですが、とくに充電不要のスマートシューズというのは弊社が世界初なんです。充電を必要とせず、1日8時間歩くとして3年間持続します。専用のスマートフォンアプリと連携して、フィットネス目標を設定して管理したり、アプリを友人や家族や同僚とペアリングしてコミュニケーションをとることができます。着用時にスマートフォンを持っていなくても歩数カウントなどが正確にレコードされるようになっています。
 ウォーキング、通勤、レジャーなど、本当に様々なシーンで活用できるように設計されたシューズとアプリケーションになっているので、あらゆる環境や文化圏の方々に知って頂いて、履いていただきたいなと思っています。

 

 

ー今後アジア含め海外に展開していく上で、足の作りであったり若干違いがあるのかなと思うのですが、そういった部分で工夫された点などがあるのでしょうか。

 元々アメリカの会社ではあるんですが、インソールを開発したオーナー自身がアジア人ということもあって、アメリカ人向けに作られたもの、というわけではないんです。
 構造としてはアジア人にも、当然アメリカ人にとっても違和感なく履けるつくりになっています。それよりもシューズのデザイン面で、受け入れられやすい色使いであったりとか、その国の一般的な靴のサイズに合わせたりだとか、今後展開していく上でバリエーションとしては少しずつ増えていくのかなと思っています。

ーなるほど。ブランドの肝になるインソールは汎用性の高いものなんですね。それ以外の部分で変化を持たせるということですが、主にどういった部分で変化をつけていくかなど、具体的にどのように取り組まれていますか?

 やはりグラフィカルな部分での変化になると思うんです。去年から日本を視野にいれてマーケット展開を検討した際に、アジア人の趣味嗜好がわかるような人をいれないといけないね、と本社でも考えていて。弊社がアメリカの会社ですのでアメリカ人のデザイナーしかいなかったのですが、それで一人アジア人のデザイナーを採用したんです。例えば柄や色使いに関しては、国ごとに好みがやはり違ってきますので、今後はアジア的な視線でもデザインを考えられるように、と。
 日本人に好まれる色使いというのは何だろう、和っぽい色ってどんな色だろう、といったことを考え、デザイナーと一緒に展示会に参加したり、実際に私の周りにいる日本人の方に地道にヒアリングしたりしてですね(笑)そうすることでリサーチしてきました。その中で新しい気づきや発見もあるですが、カラーバリエーションというのはトレンドとして毎年毎シーズン変わるものなので、常にアンテナを張って、世の中を観察していかなければいけないなと思っています。
 実は製品の変化はそんなに大きくなくて、実際に販売するときに、コンフォートシューズラインは本革を使っている靴で、スマートウォーキングシューズラインは専用アプリがあって接続をするとか、アレグリアのこの2つのラインをそれぞれ適した販売店で設置をし、お客様に寄り添った丁寧な説明をしていくといった、そういう部分が大切になってくるのではないかなと思っています。

ーいよいよトラック・バイ・アレグリアが日本で発表されていきますね。どういった形で受け入れられていくことを期待されていますか。

 アレグリアシューズがインソールを大事にしているブランドであるということをまずは知って頂きたいです。そのためには履いて頂かないことには良さを体感できないと思うので、まずは体験して頂いて、今まで履いたことのないような快適さをインソールを通して感じてもらいたいです。これから日本でも健康志向がどんどん強まっていく中で、ウォーキングや通勤だけでなくレジャーにも、本当に多様なシーンで活用できるように設計されたシューズとアプリケーションになっているので、是非日常の中で活用して頂きたいです。「スマートウォーキングシューズといえばトラック・バイ・アレグリア」と思ってもらえるくらいに皆さんの中に浸透していけることを目指しています。

 

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